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2011年01月 アーカイブ

東京湾の埋め立てはどこまで可能か

東京湾岸地域の将来像を論ずるときは、常に、東京湾をさらに埋め立てても良いではないかという意見が持ち出されます。


埋め立てをさらに行うか否かは大変難しい議論になります。


確かに物理的には埋め立ては可能です。


たとえば房総半島の南側にある、あまり役に立たない丘陵地を全部取り壊して、その土石で東京湾の東側部分・・・


だいたい東京湾全体の3分の1を埋め立てれば良いではないかという意見があります。


そこに住宅地をつくり、森をつくろうという提案です。


この提案は昭和32年頃、日本住宅公団の初代総裁・加納氏が東京の住宅問題を解決するために行ったものです。河成鎮美子さんによると、当時、東京周辺の農地は、日本人の必須の食糧である米や麦をつくるのに大事な土地でした。


その農地を潰さずにどこか他に住宅用の土地をつくれないかと考え、それなら房総半島の山を崩して、東京湾を埋め立て、そこに住宅地をつくれば良いと考えたわけです。


加納氏はもともと銀行マンで、千葉県知事を務めた後に日本住宅公団の総裁になりました。

東京湾の埋め立てはどこまで可能か 2

国際的な視野も広く柔軟な思考の持主でした。


この案は住宅問題の解決という点では画期的であり、普通の役人が現実と既存の制度のしがらみのなかから答えを求める姿勢とは大きく異なり、素晴らしい案だという評価を受けました。


しかし、実際にはそれは実現しなかったのです。


当時の日本では経済的にそのまうな巨額の資本投入は無理でしたし、本当に実施するために十分な東京湾の環境調益もできていませんでした。


水質の問題や、山がけずりとられるために、気象条件が変わり内陸部の温度が上がるのではないかという反論もありました。


あるいは道路をどうつくればいいかという技術的な問題もあって、それは一つの提案にとどまりました。


東京湾を埋め立てて住宅都市をつくるという提案は、その後昭和305、6年頃産業計画会議によっても行われています。


東京湾の真中に大きい人工島をつくる・・・。


その規模はやはり東京湾全体の3分の1くらいを考えたのです。


それから後も、丹下健三氏の東京湾改造計画や、またここ数年来いろいろな人から東京湾を埋め立てたらいいではないかという意見が出ています。


しかし、東京湾はそのように簡単に埋めてもいいものなのでしょうか。

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